第835章 唯一の直接昇級者

「トップ100に入ったら、私に会わせてあげる」天野奈々は口元に笑みを浮かべ、ゆっくりと落ち着いた口調で話した。その様子は人々の心を落ち着かせる効果があった。

星野晶はそうして上手く落ち着きを取り戻したが、彼女にとって、背後にいるこの万能な人物は、中村千明に劣らない危険な存在に感じられた。

加藤静流は星野晶が落ち着いたのを見て、彼女に寄り添いながら笑って言った。「これで安心した?」

「私、不思議に思うんです。なぜ私を選んだのかって」星野晶は首を傾げて加藤静流に尋ねた。「私みたいな新人は、バックグラウンドもないし面倒な存在なのに、なぜ私なんですか?」

「私たちスターメディアの最も重要な設立目的は、あなたのような才能があるのに、なかなか良い機会に恵まれないアーティストを見つけることなんです」加藤静流は彼女にウインクしながら言った。「だから、これからも私たちのチームには、もっと多くの仲間が加わることになるわ」

星野晶はそれを聞いて、とても信じられない気持ちになった。芸能界にこんな会社があるなんて、そして自分がそれに巡り会えるなんて、なんて幸運なのだろう。

「考えすぎないで、コンテストに集中して」

星野晶は頷いた。背後で策を練っているこの人物に対して、さらに好奇心が強くなった。

でも焦る必要はない、すぐに会えるのだから。

……

実際、征途のコンテストは東京で非常に話題になっていた。数年に一度の大会だったからだ。

街中、テレビ、新聞、インターネット、至る所でコンテストの進展について取り上げられていた。ただし、星野晶は天野奈々から控えめにするよう言われていたため、まだ正式にコンテストの実感が湧いていなかった。

300強の試合で、加藤静流は相変わらず星野晶に付き添って会場に来た。しかし試合が始まる直前、星野晶は前回見かけたとても美しい少女、ナナを見かけた。

「ほら見て、あの時あなたは私と賭けをして、あの子は落とされるって言ったのに、今日彼女は……」

「彼女はもう落とされたわ。あなたが再放送を見てないだけよ」加藤静流は眉を上げて言った。「しかも、試合の時に審査員にひどく叱られたの」

「本当?」星野晶は再び振り返り、驚いてその少女を見つめた。

美しい外見だけでは、もう通用しないということか?

「コンテストがもうすぐ始まるわ……」