第839話 彼女がまだ出場する勇気があるかどうか見てみよう

「星野晶って誰?」

「今回のオーディション番組でトップ100に直接進出した選手よ……」

「ああ、彼女がどうしたの?」

「3年前にオーディションで窃盗を働いて優勝資格を失ったって噂よ。まさか3年後に名前を変えて、また参加するなんて」

「そうか、泥棒だったのね……そんな黒い過去があるのに、どうして進出できたの?」

「厚かましいんでしょうね。名前を変えて、イメージチェンジすれば誰にもバレないと思ったんでしょうけど、結局バレちゃった。これも因果応報ね……」

選手のスキャンダルは、オーディション番組では初めてではない。ここ数年、常にあったことだが、星野晶は二度目の主役として新聞を賑わせただけだった。ネット上では当然、非難の声が飛び交っていた。この時代、泥棒に対する嫌悪感は非常に強いものだった。

「歌姫の中村千明の姉だったなんて、姉妹でこんなに違うなんて」

「中村千明はあんなに優秀なのに、どうしてこんな恥ずかしい姉がいるの」

「どんな理由があっても、泥棒なんて応援できない!」

「野村律は番組から出て行け」

「出ていけ!神聖な舞台を汚すな」

これが……天野奈々が星野晶に耐えさせようとしている、外界からの攻撃とプレッシャーだった。かつての傷跡が再び開かれ、かさぶたができれば痛みは和らぐと思っていたが、まだ血を流し続けていた。

加藤静流は星野晶の苦しみを見て、彼女の肩を叩いて慰めた。「これは一時的なことよ、怖がらないで」

「中村千明は今頃、笑っているでしょうね」星野晶は涙ぐみながら言った。「私は本当に盗んでいない、盗んでいないの……3年前も、いつだって、他人のものを取ったことなんてない」

「私たちは分かっているわ」

他に方法はない。この件を明らかにするには、傷跡を開く必要がある。確かに、これは星野晶に二次的な傷害を与えることになるが……同時に、彼女に新しい人生を与えるチャンスにもなる。