第842話 年間の大芝居だ

「三年前、私の二人の娘が一緒にコンテストに参加しました。私のよろこびちゃんは、歌の才能を見せ、優勝まであと一歩というところでした。しかし、姉が優勝することを許せなかった中村千明は、こっそりと出場者のネックレスを盗み、姉のバッグに入れたのです。そのため、姉の優勝の座を奪ってしまいました...」

「私たち夫婦は年を取り、ずっとよろこびちゃんが泥棒だと思い込んでいました。私たち夫婦の顔に泥を塗ったと思い、この娘をずっと冷たく扱ってきました。しかし、最近になってようやく分かったのです。中村千明は姉をコントロールするために、よろこびちゃんの自由を制限し、さらに脅迫までしていたのです。二度と番組に出演してはいけない、さもないと泥棒だということを暴露すると...」

「姉の優勝人生を奪っておきながら、少しの罪悪感も持たず、私たち夫婦に芝居をさせようとして、自分の味方になってほしいと言ってきたのです。」