このとき、田村青流も密かに別の番組制作チームに加わり、すぐに契約を結んだ。ただし、彼の唯一の条件は、夏目栞を彼のパートナーにすることだった。
この提案に対して、相手側は快く受け入れた。
……
確かに、おぼっちゃまは頭が良くないが、上には局長が控えている。その地位に就けるということは、田村青流を容赦なく切り捨てられるほどの手腕と才覚があるということだ。
そのため、局長は自ら宣伝を企画し、息子の番組に非常に力を入れた。最新の予告編では、局長は精神的に最も不安定な学生層をターゲットに、最も人気のある若手女優と若手俳優を起用し、編集と宣伝にも力を入れた。
すぐに、『大冒険』は一部の人気を取り戻した。結局のところ、ファンが番組を見なくても、自分のアイドルを応援しなければならないからだ。
局長は、『大冒険』が田村青流なしでも高視聴率の神話を作れることを証明したかったのだ。
そして彼が警戒していたもう一つの問題は、田村青流が局内で牽制できる人がほとんどいないことで、一人で大きな力を持ち、多くの人々の利益を裏で脅かしていたことだった。
天野奈々も局長の成果を見て、局長はなかなかの手ごわい相手だと考えた。少なくとも、頭の悪い息子よりもずっと優れていた。
しかし、局長のやり方は、いささか近視眼的すぎた。
田村青流は情に厚い人間で、少なくとも局に在籍していた多くの年月、他意はなく、ただ番組を良くすることだけを考えていた。ただ、局長の疑心暗鬼が強すぎて、田村青流が次第に尊敬を集めることに耐えられなかっただけだ。彼は『大冒険』を、あらゆる面で不足のある自分の息子に任せることを選んだ。
そして、おぼっちゃまが本当に成功できるかどうかは、最初の視聴率にかかっていた。
まあ、これでいい……
『大冒険』と競合関係にあるのは、別のテレビ局のトークショー番組『爆弾ネタあるから暴露して』だった。毎回話題性があり、芸能人の参加度も高かったが、田村青流の影響で常に抑え込まれていた。
みんな、田村青流のいない『大冒険』に絶対的な優位性があるのかどうかを予測していた。
答えは、新しい回の放送時に明らかになった。もちろん、実際のデータから問題が見えてきた。『大冒険』の視聴率は、まだわずかに高かった。
確かに、田村青流がいた時と比べられるものではなかったが、優位性はあった。