第889章 私の彼女

「私が参加したいのは、兄が心から望んでいる結婚式です。もし適当な結婚式なら、私たちは行かなくてもいいです」と言って、加藤静流は権守夜を通り過ぎ、すぐに木下準を探しに行こうとした。しかし、どんな結果になるかは分からなかった。

「俺が何か企んでいないと、どうして分かる?」権守夜は加藤静流の消えていく姿を見ながら、嘲笑した。

この人生、ずっと権守お母さんの干渉の中で生きてきて、一度も自分のために生きたことがなかった。しかし今回は、必ず権守お母さんに分からせてやる。これからは、誰も彼の人生に干渉できないということを。

……

加藤静流は車を運転して出かけた。目的地はただ一つ、航空自衛隊基地だった。彼女は必ず木下準に会って、彼が無事であることを確認しなければならなかった。

もちろん、軍事基地は誰でも入れる場所ではない。そのため、加藤静流が三時間かけて郊外の基地に到着したとき、彼女は直ちに歩哨に入口で止められた。

「お嬢さん、ここは軍事重要地域です。一般の方は立ち入り禁止となっております」

「木下準を探しています」加藤静流は自分の意図を伝えた。「私は彼の彼女です……」

「申し訳ありませんが、お嬢さん、ここは立ち入り禁止区域です。どなたであっても入ることはできません」歩哨は固く加藤静流を制止した。

「面会も許されないのですか?」

歩哨は首を振った。「申し訳ありません、お嬢さん。私たちを困らせないでください。日が暮れかけています。早く帰られた方がいいでしょう。ここは人里離れた場所で、宿泊施設もありません」

加藤静流は軍事基地が厳重だということは知っていたが、ここまで厳しいとは知らなかった。なるほど、木下準の父親でさえ、自分の息子の消息を得ることができないわけだ。

「では、ここで待ちます」加藤静流の頑固な性格が出てきた。誰も彼女を動かすことはできなかった。

歩哨は仕方なく、彼女に安全な場所で待つよう指示した。加藤静流はそこで深夜まで待ち続けた。

先ほどの歩哨は交代し、新しい歩哨も同じように加藤静流に対応した。仕方がない、軍令は山のように重いのだから。

すぐに、数台の軍用車が基地を出て行った。木下準の消息を早く聞きたい一心で、加藤静流は車を一台一台止めようとした。