第893話 もう彼女が出る番ではない!

田村青流は夏目栞を特別に気遣い、後輩を全力で支援していましたが、この洪水災害で人気が急上昇したにもかかわらず、局長は当初の計画を変更しませんでした。

彼はやはり田村青流を交代させるつもりでした。

夏目栞は田村青流が去ることになるという知らせを全く知りませんでした。彼女は田村青流が非常に優れた司会者で、他人のことを真摯に考えてくれる人だと思っていただけでした。しかし、やっと師匠ができたと思ったのに、彼女を業界に導いてくれたこの人がすぐにテレビ局を去ることになるとは思いもよりませんでした。

「大冒険」が放送された夜、夏目栞はとても緊張していました。仕事上の悩みがあっても、バラエティ番組の経験がない天野奈々には相談できず、田村青流に相談しようと思いました。

しかし、テレビ局に着いたとき、田村青流は局長室にいると告げられました。しばらくして、田村青流が局長室から出てきましたが、彼と一緒に別の男性も出てきて、二人は何か話し合っているようでした。