同じ道を歩んでいても、ゴールまで辿り着ける人もいれば、途中で脱落して深淵に落ちていく人もいる。
これが人生の様々な姿であり、天野奈々が全力を尽くしても、避けられないことだった。
夏目栞の一件は、加藤静流を傷つけただけでなく、彼女自身にも気付きを与えた。別れと諦めは、彼女が必ず学ばなければならない課題だった。
……
夏目栞は、田村青流と死に物狂いで戦う道を選んだ。しかし、今の彼女にとって、それ以外の選択肢はなかった。長期的な展望も将来も、田村青流が彼女を売り渡した瞬間から、もう考える余裕はなかった。彼女は必ず田村青流に代償を払わせなければならなかった。
会議が始まる前、田中社長は夏目栞に買い与えた別荘で、彼女にこう言い聞かせた。「何事も極端にはしないように。元恋人なのだから、生きる道を残してやりなさい」
夏目栞は黒いスーツを着こなし、キリッとして精悍な印象を与えていた。表情は無表情で、田中社長に対する感情は複雑だった。特別な手段で彼女を手に入れたこの男を、本来なら骨の髄まで憎むべきだったが、彼は彼女に新しい家を与えた。そして、これらすべては彼女が自ら望んだことだった。
かつての順調な道を捨て、自ら破滅への道を選んで今日に至った。誰を責めることができようか。
夏目栞は突然、廃遊園地でのあの夜のことを思い出した。傷だらけの加藤静流が彼女の前に現れた時、加藤静流はどれほど心を痛めていただろうか。
彼女は、加藤静流に対する罪悪感は一生償えないと感じていた。
「分かりました」夏目栞は最終的にそう田中社長に答えたが、二人とも心の中では分かっていた。夏目栞は決して田村青流を許さないだろうということを。
すぐに、夏目栞は東栄映画の社屋の下に車を停めた。社内の関係者たちも、夏目栞を見て初めて、彼女が間違いなく新しい責任者だと確信した。
「どうしてこんなことに?この夏目栞って、スーパースターに見捨てられた女じゃないの?田村青流とテレビ局に行ったんじゃなかったの?どうして今は私たちの責任者になってるの?」
「何でだと思う?田中社長のベッドに上がったからでしょ」
「なるほど、こんな大きな案件を何も分からない女に任せるなんて、美人のためなら千金を投げ打つってわけか」