第943章 まだ戦える

加藤静流は結婚することになり、天野奈々と墨野宙に証人になってもらいたいようだった。

木下夫人はそれを知ると、直接天野奈々に電話をかけてきた。加藤静流を息子の嫁に決めてからは、彼女は義理の家族も実家の家族も引き受けているようで、加藤静流の望むものは何でも可能な限り叶えようとしていた。

天野奈々と木下夫人といえば、二人は話し始めると、まるで初対面とは思えないほど打ち解けていた。それは二人に多くの共通点があるからで、最も一致している点は、おそらく二人とも身内に対して極めて甘いということだった。今回の加藤静流の結婚式では、天野奈々は彼女のために盛大に祝うつもりだった。

二人は1時間も話し込んでしまい、墨野社長に催促されなければ、おそらくまだ話し続けていただろう。

「夜も更けて、夫を放っておいて年配の女性と話に夢中になって、私の気持ちを考えたことはあるのかな?ん?」