第921章 誰のせいにできるだろうか?

「今日会わせる人は東栄映画の田中社長よ。彼は最近新しい番組を企画していて、私たちの助けになるかもしれない。もし田中社長の支援を得られたら、私たちにはまだ這い上がるチャンスがあるわ、分かる?」

田村青流の言葉を聞いて、夏目栞は密かに頷いた。この戦いに勝つため、夏目栞は最高の姿で臨むべく、全力を尽くした。

すぐに二人はホテルに到着し、VIP個室に入ると、丸テーブルに背の低い太った男が座っているのが見えた。夏目栞は心の中で不快感を覚えたが、田村青流は男に近づいていった。

なぜか分からないが、夏目栞には目の前の田村青流が、本当に見知らぬ人のように感じられた……

その田中社長は、目が濁っており、全身から油っぽい雰囲気を漂わせていて、一目で善人には見えなかった。

特に彼が夏目栞を見る目つきには、常に所有欲のような色が混じっており、それが夏目栞にこの会食をより一層警戒させた。

「さあさあ、夏目さん、どうぞお座りください」

夏目栞は田村青流と田中社長の間に座り、無意識に田村青流の腕に手を添えたが、しかし、それは田村青流によってさりげなく払いのけられ、夏目栞の体は硬直した。

「田中社長はお酒がお好きだから、栞、田中社長と少し飲みなさい」

夏目栞は愕然として田村青流を見つめた。田村青流は彼女を何だと思っているのか?

「私を助けてくれるって言ったじゃない?今こそあなたが必要な時なのに、約束を破るつもり?」

夏目栞は拳を握りしめたが、結局は諦めた。

「そうそう、こうでなくちゃ。遊びに来て、お酒を飲まないなんてありえないでしょう?夏目さんは自罰で三杯……」

田中社長は直接夏目栞にワインを三杯注ぎ、夏目栞が三杯飲み干すのを見計らって、彼女の足に手を這わせた。しかし夏目栞はすぐに立ち上がった。「何をするんですか?」

「村田さん、なぜそんなに大げさな反応をするんです?」田中社長は慌てて笑いながら言った。「食事と酒を楽しむだけなのに、なぜそんなに興奮するんです?」

夏目栞は顔を真っ赤にして、結局座り直したが、今度は田中社長がより大胆になり、ほとんど夏目栞のスカートの中に手を入れようとした。

夏目栞は直接ワインを投げかけた。「触れるものなら、もう一度触ってみなさい?」