田村青流は今、テレビ局に弄ばれているような状況にあったが、抵抗する術もなかった。天野奈々を怒らせてしまった以上、他に行き場所がないからだ。
夏目栞は田村青流を助けたかったが、携帯を取り出しても、助けを求められる人が見つからなかった。元々すべてはスーパースターが与えてくれたものだった。今は、ただ原点に戻っただけだ。
スーパースターを離れた後、彼女は本当に何者でもなくなっていた。
だから、田村青流が部屋に閉じこもる姿を見守ることしかできず、一人でリビングで悲しんでいた。
そう考えた夏目栞は、田村青流のために何かしなければならないと思い、翌日、局長の執務室に突入した。
局長の秘書は止められず、局長は秘書に退出するよう命じた。
「なぜ田村青流を苦しめるのですか?彼には何の落ち度もないし、才能もあるのに、ニュース取材なんかに埋もれさせるべきではありません。」