第971章 不適切

加藤静流が東京に到着したとき、航空自衛隊基地の人が迎えに来ていた。

「奥様、こんにちは。私は司令官の通信兵の中野巌と申します」

「中野さん、早く教えてください。木下准は今どこにいるの?一体どうなったの?」加藤静流は今、木下准に会えるのがいつなのかということだけが気がかりだった。

「実は、司令官は助かりましたが、空軍内部の多くの人が知っているにもかかわらず、あなたや木下家の方々に知らせなかったのは、実は……」中野巌は背は低かったが、がっしりとしていた。表情から判断すると、忠実で正直そうで、信頼できる若い兵士のようだった。

「言いたいことがあるなら、遠慮なく言ってください」加藤静流はすでに心の準備ができていた。なぜなら、その中に必ず内幕があると予想していたからだ。人が助かったのに、妻である自分に知らせる必要がないはずがない。