警察署での昨夜の事情聴取を終え、天野奈々たちが警察署の玄関を出ると、外にはまだメディアが群がっていた。このような公の場での争いは業界では珍しく、記者やメディアは当事者から直接話を聞きたがっていた。
「星野晶と浅川司は帰りなさい。こんな時に皆で集まる必要はないわ」
星野晶と浅川司は目を合わせ、頷いた。「はい、奈々さん」
加藤静流には木下准が、中村さんには陸野徹が守り、天野奈々は当然、墨野宙の腕の中にいた。いつでも墨野宙の腕の中にいれば、彼女は安全だと感じていた。
メディアが一斉に押し寄せ、フラッシュを焚きながらカメラを天野奈々と墨野宙に向けた。
「天野さん、今日のあなたの経験について、業界では犬同士の争いと呼ばれていますが、どうお考えですか?」
「佐藤社長の今回の報復は証拠が確実ですが、佐藤社長にどのような要求をされるのでしょうか?」