「すみません、手が滑りました」しかし、彼女の顔には謝意はほとんど見られなかった。
箱は紙製で、水面に浮かぶことができた。
幸い遠くまで流されず、取り戻せそうだった。
琴子が身を屈めようとした時、横から伸びてきた手が見えた。
琴子は冷笑いながら身をかわし、高橋姉帰の手は空を切り、足を滑らせて「ドボン」と池に落ちた。
琴子は素早く自分の箱を拾て、数歩後ろに下がった。
高橋姉帰は水しぶきを上げながら、「助けて」と叫んでいた。
傍観していた高木朝子は口を押さえ、急いで人を呼び始めた「誰か来て!高橋姉帰が池に突き落とされました!」
その声は響き渡り、高橋家の上から下まで全員に聞こえた。
突然誰かが駆けつけ、池に飛び込んで高橋姉帰を助け上げた。