全ての人を公平に扱う

後ろめたいことをしていない人は、幽霊が来ても怖くないが、高橋姉帰は後ろめたいことをしたから、防犯カメラを確認されるのが怖かった。

傍に立っていた高木朝子も慌て始めた。彼女は全ての経緯を知っているので、防犯カメラを確認されれば問題になることは分かっていた。

高橋進は高橋敬一に指示した「防犯カメラを確認してください。」

高橋姉帰は濡れた体も気にせず、急いで高橋敬一を引き止めた「お兄さん、私も一緒に行きます。」

彼女の声には慌てた様子が混じっていた。

高橋進の目が厳しくなった。

高橋姉帰は慌てて弁解した「私はただ好奇心で、彼女が私をどうやって押したのか知りたいだけです。」

嘘ばかり!

池村琴子は箱を抱きながら、赤い唇を曲げて艶やかに笑った。「服も着替えずに防犯カメラを見に行くなんて、高橋さんの好奇心は本当に強いのですね。」

その時、皆は高橋姉帰を見て、彼女が体にタオルを巻いただけで、まだ服も着替えていないことに気付いた。

高橋進は厳しく眉をひそめ、中年の威厳のある口調で言った「お兄さんが見に行くのを信用できないの?君、先に着替えてきなさい。」

高橋姉帰は顔を真っ赤にして、何かもごもごと言い、委屈そうに高橋敬一を見て、着替えに行った。

高橋敬一は何も言わずに、防犯カメラ室へ向かった。

「池村さんと朝子さんもどうぞお座りください。」高橋進は穏やかな口調で言った。

高木朝子は防犯カメラのことが心配で、足で床を引っ掻いていたが、高橋進に呼ばれ、しぶしぶ頷くしかなかった。

数人がホールで結果を待っていた。

琴子は箱を脇に置き、落ち着いてメイドが差し出したお茶を受け取った。

高橋進は彼女が卑屈でもなく傲慢でもなく、庶民の小さな家の出のような緊張感もないのを見て、さらに好感を持った。

彼は若い頃軍人だったため、威厳があり、さらに長者としての地位もあって、多くの若い女性は彼と目を合わせることさえできなかった。しかし、池村琴子は、謙一が言うように、確かに何か違っていた。

「謙一から聞いたのですが、池村さんも養子なのですか?」高橋進が突然口を開いた。