池村さん、ちょっとお話してもよろしいでしょうか

「はっきりとは分からないけど、目標は見つかったよ。姉帰の海外の同級生が今夜来るんだ」と高橋忠一は目を細めて笑った。

高橋敬一は興奮して彼の手を掴んだ。「兄さん、本当なの？！仙が本当に帰ってくるの？！」

弟の興奮な声を詰まらせる様子を見て、高橋忠一の目も潤んできた。

この何年の間、彼らは何千何万もの場所を探し回り、莫大な費用をかけても仙の痕跡を見つけることができなかった。

二十数年、一番悪いのことを覚悟していたのに、まさか生きている仙に会えるとは。

「兄さん、ほら、姉帰は私たちの福の星だって言ったでしょう。私たちを癒してくれただけじゃなく、今度は仙も見つけてくれた」ここまで言って、高橋敬一の池村琴子への申し訳なさは完全に消え去った。「仙が帰ってきたら、私たち家族は再び一つになれる」

高橋敬一の感情は忠一にも伝染した。

「仙が帰ってきたら、お前も彼女を見つけられるな」という高橋忠一の冗談に、高橋敬一は目を転がした。「それは謙一に言うべきだよ」

「私たち三人で仙を見つけるまで結婚しないって約束してから、謙一は意欲を抑えて、遊び人になったけど、仙が見つかったら最初に結婚するのは彼だろうね」謙一のことを話すと、いつも明るい高橋敬一も優しい表情になった。

謙一は一番下の弟で、最も愛されている。

今夜仙に会えると思うと、高橋敬一の気分は随分良くなった。「父たちがまだ待っているから、説明してくる」

高橋敬一が近づくと、その場の雰囲気が少し気まずくなっているのに気付いた。

姉帰は既に着替えて高橋進の隣に座り、彼を笑わせていた。

彼女は敬一が近づいてくるのを見て、罪悪感のある目つきで両側を見回した。

琴子は口元に薄い笑みを浮かべていた。彼女の穏やかな笑みを見て、高橋敬一は唇を引き締めて足を止めた。

「随分時間がかかったな」高橋進は真面目な表情で言った。「監視カメラの確認はどうだった？」

その場は突然静まり返り、針が落ちる音も聞こえそうなほどだった。

高橋姉帰は服の裾をつまみながら、可哀想そうに高橋敬一を見つめ、柔らかい声で震えながら言った。「お兄さん...」