第62章 最後の手続き

「見てみなさい。あの子の気性を。私は前まで育ちがいいと思っていたのに、今のあの態度を見てごらん。高橋家の人らしくないわ。姉帰の方がまだ礼儀をわきまえているわ」高橋進は荒い息を吐きながら言った。「そばで育てなかった子どもは、やはり頼りにならないものだ」

高橋忠一は眉をひそめ、池村琴子が去った方向を心配そうに見つめた。

父も敬一と同様に、まだ琴子の性格に慣れていなかった。

琴子もまた、この家族に溶け込む準備ができていないように。

琴子に心から私たちを認めてもらいたいなら、最初から彼女の心を冷やしてはいけない。

彼は父に向かって真剣に言った。「お父さん、琴子の言う通りです。お父さんが間違っていました」

「最初から彼女の決定に口を出さないようにと言ったはずです。この二十数年間、お父さんのそばで育っていないのだから、彼女の行動様式や性格はすでに形成されています。私たちは彼女が徐々に私たちを受け入れるのを待つべきで、無理に彼女の人生を決めつけるべきではありません」

「それに、姉帰のことにも口を出さないでください」高橋忠一は自分が調べた情報を父に話さなかった。姉帰の心中を推し量りたくはなかったが、森田美見の件はあまりにも不自然な点が多すぎた。

もし高橋が先に琴子のDNA鑑定を調べていなければ、家族全員が森田美見を仙だと思い込んでいたかもしれない。

長年にわたって、敬一も自分も、そして父までもが姉帰を実の娘のように思っていた。しかし、彼らは忘れていた。姉帰とは血のつながりがないということを。

琴子が来た初日に不愉快な形で終わったのは、姉帰の提案だったのだ。

高橋忠一は父の老いた顔を見つめながら、心を鬼にして言った。「彼女が私たちと再会してから、私たちは彼女のために何もしていません。最初にしたことが彼女の人生を決めつけることだったんです。よく考えてみてください。これは彼女に対して公平でしょうか?」

高橋進は茶碗をなでながら、口を開きかけたが、最後には溜息をついた。「お前の言う通りだ。私が愚かだった」

姉帰が提案をし、彼は一時の思い付きで、このことを考えなかった。

立場を変えて考えてみれば、琴子を責めることはできない。自分だって怒るだろう。

「今週末に親族との対面を手配しよう。戻ってきたからには、これからは私たちが彼女を支えていかなければならない」