山田さんは宝子の反応に驚いた。
まだ5歳なのに、あまりにも早熟すぎる。
多くの場合、宝子の思慮深さに恐ろしさを感じた。
「山田さん、行かないなら私が行きます」宝子は彼女の手を振り払って中に入っていった。
「あら、坊ちゃま!」
山田さんは急いで追いかけた……
山本邸で、山本正博と吉田蘭が向かい合って座っていた。
「なぜ私に相談もなく離婚したの?」吉田蘭は怒りに満ちた表情で言った。「私が記憶喪失になったからって、あなたまで記憶喪失になったの?」
「当時、私は彼女の出自を理由に反対したけど、あなたは何て言ったの?出自なんて関係ない、人柄が大事だって。そう、私はあなたの願いを叶えた。今はどう?気が変わったからって人を蹴り出すの?」
山本正博は唇を固く結んで黙っていた。
吉田蘭はため息をついた。「好きな人なら追いかければいいじゃない。素晴らしい娘なのに」