第43章 あなたが探したくなくても、彼らがやってきた

「このハンカチ、本当にあなたのものだったんですね……」高橋忠一は彼女を見つめ、目が赤くなった。

「そうよ、少し古びているでしょう」池村琴子は笑いながら物を畳んでポケットに入れた。「これは祖母が私に残してくれたもので、おそらく家族と再会するための唯一の手がかりなのかもしれません」

この瞬間、高橋忠一はついに確信した。池村琴子が高橋仙、彼の妹であることを。

彼は目を見開いて空を見上げ、涙をこらえた。

再び彼女と目が合った時、抑えきれない表情は幾分和らいでいた。

「以前の家族を見つけたいと思いますか？」彼は慎重に尋ね、池村琴子の表情の一つ一つを見逃さないようにした。

池村琴子は目を伏せ、静かに言った。「正直、そうは思いません。祖母の遺志でなければ、これらの物さえ持っていたくありません」

「なぜですか？」高橋忠一は目を細め、眼鏡の下の切れ長の目が一文字になった。「家族と再会したくないのですか？」

再会……

池村琴子は一瞬固まった。

子供の頃、彼女はある時期、必死に自分の家族を探そうとした。しかし、あらゆる方法を試しても、得られた結果は自分が捨てられた子だということだけだった。

捨てられた人間が、家族を見つけたところで、その人たちに嫌われるだけだろう。

「したくありません」彼女は嘲笑うように言った。「私はただ祖母の遺志を果たすだけです」

彼女の冷たい返事を聞いて、高橋忠一は木のように固まって「ああ」と言った。

彼女の様子を見ると、家族に対して何か誤解があるようだ。

今すぐに彼女に伝えたかった。家族は何年もかけて彼女を探し続け、家族全員が彼女を待っているということを。

たとえ池村琴子が彼らを好きでなくても、彼は引き下がるつもりはなかった。

「池村さん、あなたが私たちの妹かもしれないと考えたことはありませんか」

池村琴子は口角を引きつらせ、急いで言った。「そんなことは考えられません。私にそんな良い運命があるはずがありません。そんな白昼夢は見られません」

「それに、あなたたちは既に高橋仙を見つけたじゃないですか？あの短髪の女性、お父さんによく似ていて、間違いないはずです」

高橋忠一が示した夢は美しすぎて、彼女には考えることも、夢見ることもできなかった。

高橋忠一は彼女をじっと見つめた。「もしこれが夢じゃないとしたら？」