第49章 彼女の不倫相手

店員は言葉を失い、おずおずと高木朝子を見つめていた。

高木朝子の美しい顔が一瞬にして醜くなった。彼女は池村琴子の支払いを止めようとしただけで、全てのドレスを買うとは言っていなかった。

このブティックのドレスを全て買うとなると数千万円もかかる。

試着もしていない服もあるのに、どうして全部買えるというの?

しかし、これだけの人前で、高木朝子は直接否定することもできず、店員に遠回しに言うしかなかった。「さっき私が言ったものだけ包んでください」

池村琴子は冷笑し、ドレスを選び始めた。

これで、店員も高木朝子も口を挟む勇気がなくなった。

池村琴子は白いベアトップのロングドレスを選んだ。

ドレスの裾には手作りのレースが一周施され、ベアトップ部分には小さな真珠で蝶々が作られ、肩周りを取り囲み、胸元の白いバラと呼応し、デザインは独特で繊細だった。