第52章 この詐欺師を追い出せ

今、彼女が一番見たくない人物は、池村琴子だった。

「お父さん、彼女は私たちの家族じゃないわ。どうして私たちの家族の集まりに参加できるの？」高橋姉帰は池村琴子を指差し、怒りで体を震わせた。

池村琴子がいなければ、山から落ちることもなかったのに。

「お兄さん、お願い、彼女を帰して。私、彼女を見たくないの……」高橋姉帰は涙を流し、梨の花のように泣き崩れた。

高橋敬一は眉をひそめ、池村琴子を見た。

高橋進も池村琴子を見て、困ったように言った。「池村さん、申し訳ありませんが……」

これは彼女を追い出すという意味だった。

池村琴子は唇を固く結び、胸が痛むように締め付けられた。

なんて笑い話だろう。やっと自分の家族を見つけたと思ったのに、今その家族が彼女に鎌を向けている。

スマートフォンには親子鑑定の結果があるのに、それを取り出すのが今は耐えられなかった。