第66章 おめでとう

妊娠は大事なことだからね。

彼は咳払いをして、からかうように尋ねた。「なあ、聞きたいんだけど、この三年間、彼女とやったのか?」

山本正博は眉をひそめ、あの夜、彼女に薬を盛られた場面が頭をよぎった。

その夜、いつものように彼女が作った白きくらげと梨のスープを飲んだ。まさか飲んだ後、その夜から体が制御不能になるとは思わなかった。

結婚して三年、彼は契約を守り、彼女に触れることはなかった。あれが初めてだった。

そして、それは屈辱的な一夜でもあった。

「ない」山本正博は薄い唇を固く結び、周囲の空気は暗く恐ろしいものとなった。

鈴木哲寧は軽く「へえ」と声を出し、彼に親指を立てた。

関係を持っていないのなら、池村琴子の妊娠は明らかに他人の子供だ。

山本正博はもう少しで父親になるところだった!