第83章 私が連れて行く

彼の弟は、何もかも良いのだが、突発的な出来事に直面すると少し混乱してしまうところがある。

「敬一、事情がはっきりしないうちに、人を勝手に罪に問うのはよくない」

彼の言葉が終わると、高橋敬一は唇を引き締めたが、顔には明らかに不満が残っていた。

高橋進は険しい表情で横に立ち、何も言わなかった。

家の恥は外に出すべきではない。たとえ本当に仙の仕業だとしても、大勢の目の前で、他人に笑い者にされたくはなかった。

山本正博の眼差しは冷たく、瞳の奥に一筋の暗い影が過った。

彼は池村琴子が高橋家でうまくやっていけると思っていたが、今の状況を見る限り、そうではないようだった。

彼は池村琴子に近づき、彼女が俯いて額に汗を浮かべているのを見て、静かに言った。「一緒に行こう」

一緒に行こう……