第120章 山本宝子、真実を話そう

火をそんなに怖がっているのに、見て見ぬふりができる。

離婚したのに、来なくてもよかったのに。

でも彼は駆けつけて、自分を救ってくれた。

倉庫の炎が天を焦がし、空を赤く染めていた。

芝生の上で、山本正博の瞳は清らかな泉のように、青空と白い雲を映していた。「深く考えないで。借りを返しただけだよ」

借りを返す……

その言葉に池村琴子は体が凍りつき、その場に立ち尽くした。

池村琴子は前回の山本家の火事を思い出した。あの時も彼を救うために飛び込んだのだ。

そうか、借りを返すためだったのか……

どんな気持ちなのか言い表せない。九死に一生を得て、期待することも、余計な考えを持つこともできなかった。

その後、秘書が来て、彼女たちを病院に連れて行った。

彼女が怪我をしたと知った高橋三兄弟は激怒した。