第100章 勝ちはあなたのもの、負けは私が背負う

「何を言ってるの？」藤井安は耳を澄まし、目を細めた。「聞き間違いじゃないよね？六十万円上乗せしろって？」

彼は安藤静の方を向いて嘲笑うように言った。「どこの友達だよ、お前と同じように白昼夢見てるのか？」

元々池村琴子のことを気に入っていたが、金の話になると、どんなに気に入っていた相手でも気に入らなくなった。

「帰れよ、くそ、交換したくなきゃしなくていい。上乗せだと？俺を馬鹿にしてるのか！」いらだたしげに手を振った。「六十万円どころか、三円だってないんだ。全部借金返済に使っちまった。」

彼の言葉が終わるや否や、佐藤美世子は池村琴子たちが帰ってしまうのを恐れ、急いで言った。「たかが六十万円じゃない。私が出すわ！」

たった六十万円、彼女の預金でちょうど足りた。

六十万円どころか、さらに六十万円上乗せしても、彼らは儲かるのだ。