第123章 彼は黒幕だった

高橋進に肩を叩かれた場所が熱く感じられ、池村琴子は下唇を噛みながら、心に重い石を載せられたような気分だった。

高木朝子に比べて、高橋姉帰への憎しみはそれほど深くなかったが、もし彼女が母に手を出すようなことがあれば、容赦はしないつもりだった。

自分が誘拐された件について、高橋謙一が高橋姉帰を疑うのも無理はなかった。当時、救急車の中にいた人で、この事を知っていたのは高橋家の人々以外にはいなかったし、高橋姉帰と高木朝子は深い関係があったからだ。

それに母の怪我の件も不可解だった。

しかし高橋進はそれを信じようとしなかった。

彼女はおろか、高橋家の誰も、高橋姉帰が鈴木羽に危害を加えるとは信じられなかった。

結局、二十年以上も一緒に暮らしてきたのだから。

もし高橋姉帰が本当にそんな人間だったら、高橋家の人々にとって致命的な打撃となるだろう。

「証拠がない以上どうしようもないね。母さんが目覚めれば真相が分かるはずだ。もしお前が毒蛇のような心を持っているとわかったら...」高橋謙一は目を細め、平淡な口調で脅すような言葉を述べた。

高橋姉帰は目に涙を溜めながら言った。「私がどんなに悪い人間だとしても、自分の母を傷つけるわけがないでしょう!三兄、どうしてこんなことを?前はこんな風じゃなかったのに。私はあなたの妹なのに、どうしてこんなに疑うの...」

そう言って彼女は高橋進の前に移動し、涙を震わせながら言った。「お父さん、もうこの家にいられません!出て行きます。毎日疑われるのは嫌です。私の辛さはどうでもいいけど、兄妹の情を傷つけたくないんです。」

高橋姉帰のその様子を見て、高橋進は眉をひそめ、怒りと心配の表情を浮かべた。「お前はこの家に残るんだ。お前は私が養子として迎えた子供だ。私がいる限り、誰もお前を虐めることはできない。」

「ありがとう、お父さん。」そう言って池村琴子を一瞥し、さらに激しく鼻をすすりながら、「みんな姉さんが帰ってきたって言うから、姉さんの帰りを待ち望んでいた私はもう要らないんですね。私なんてもう用無しだから。」

池村琴子は冷笑した。

これは彼女を責めているのか?