第123章 彼は黒幕だった

高橋進に肩を叩かれた場所が熱く感じられ、池村琴子は下唇を噛みながら、心に重い石を載せられたような気分だった。

高木朝子に比べて、高橋姉帰への憎しみはそれほど深くなかったが、もし彼女が母に手を出すようなことがあれば、容赦はしないつもりだった。

自分が誘拐された件について、高橋謙一が高橋姉帰を疑うのも無理はなかった。当時、救急車の中にいた人で、この事を知っていたのは高橋家の人々以外にはいなかったし、高橋姉帰と高木朝子は深い関係があったからだ。

それに母の怪我の件も不可解だった。

しかし高橋進はそれを信じようとしなかった。

彼女はおろか、高橋家の誰も、高橋姉帰が鈴木羽に危害を加えるとは信じられなかった。

結局、二十年以上も一緒に暮らしてきたのだから。

もし高橋姉帰が本当にそんな人間だったら、高橋家の人々にとって致命的な打撃となるだろう。