第174章 調べ終わった

池村琴子が高橋邸を出たところで、高橋忠一からメッセージが届いた。横山紫が頼み込んで、高橋姉帰は光町に残ることになったという。

池村琴子は意味ありげに微笑んだ。

横山紫が組織の名を借りたのだから、高橋進が折れたのも当然だった。

「琴子……」

門の前に、完全武装した近籐正明が立っていた。

彼はロングウィッグを付け、ユニセックスな長いコートを着て、サングラスとマスクをしていた。遠くから見ると本当に綺麗な女性に見えた。

池村琴子は思わず笑みを漏らした。芸能人も大変だな。

近籐正明は急いで彼女の側に来て、彼女を脇に引っ張った。「誰かがあなたを調べています」

「誰が?」

「名前は分かりませんが、第四班から情報が来ました。誰かがお金を出してあなたの身元を調べているそうです」

お金を出して彼女の身元を?まさか「W」組織の中で彼女の身元を調べる人がいるとは。