「行かせない!」鈴木羽は彼女の手を握りしめ、目尻の涙を拭った。「今は気持ちが不安定だわ。子供とあなたの安全のために、もう少し待ちましょう」
「数日後には…」池村琴子は激しく震え、涙で曇った目で彼らを見つめた。「葬儀はもう…」
「私たちが葬儀に参列しようとしたら、山本家の人々に追い出されてしまった。山本家の屋敷に埋葬されたことだけは分かっているが、具体的な場所は…まだ探さないと」高橋忠一は一瞬言葉を切り、何かを思い出したように、声も沈んだ。
高橋家にとって、山本正博は妹の命の恩人だったが、山本家の人々にとって、妹は殺人者だった。
高橋敬一も立ち上がって諭した。「山本正博の母さんが遺産を全部お前に残して、看取る人もなく、亡くなってすぐに正博兄さんまで事故に遭って…今は山本家の上から下まで、お前を敵と見なしている。母さんと兄貴の言う通りだ。正博兄さんの埋葬場所を知りたいなら、もう少し待って、この騒ぎが収まってからにした方がいい」