「あなたでしょう?」彼が答えないのを見て、池村琴子はさらに確信を深めた。「あなたが死なないって知ってたわ」
「怖かった...」彼女は朦朧とした意識の中で男の顎に触れた。
これは夢なのだろうか?
もしこれが夢なら、もう少し長く続いてほしい。
彼女は涙を流しながら、体を少し曲げ、手を伸ばして彼の首に腕を回した。
男は唇を軽く結び、体が少し震えた。
「前に私のことが好きかって聞いたでしょう。実は私、ずっと前からあなたのことが好きだったの。でも断られるのが怖くて、言えなかった」彼女は彼の鎖骨に寄り添いながら、独り言のように呟いた。
目の前の顔を見つめながら、南條夜の瞳にも深い愛着が浮かんでいた。
彼女を起こしたい気持ちと、起こしたくない気持ちが交錯していた。
南條夜は眠る池村琴子を抱えて車に乗せ、シートに寝かせ、毛布をかけてやった。