後藤英夫は驚かなかった。
この事件に関わる前から調査していたが、これまでの事件で高木朝子はさまざまな方法で逃げ出し、刑務所行きさえ免れていた。
高木朝子の後ろ盾は強大で、小さな騒ぎでは彼女に影響を与えることはできない。大きな一撃を与えてこそ、彼女に教訓を与えることができるのだ。
「池村さんの方で他に証拠は集まりましたか?教えていただければ、私がまとめます」
池村琴子は満足げに頷いた。さすが全国的に有名な弁護士だ。彼女の考えを一瞬で見抜いていた。
「私の方でもまだ多くの証拠があります。明日までに集めてお持ちします」
後藤英夫との話が終わり、彼女は高橋敬一と一緒に帰ることにした。
中庭を出て、池村琴子は足を止め、彼に言った。「今日はありがとう。他に用事があるから、先に帰って」