第188章 彼女を許すのは甘すぎる

自首して減刑?

甘すぎるわ。

「池村琴子!」高木朝子は驚いて目を見開いた。「なぜここにいるの!」

池村琴子は嘲笑うように笑った。「因縁だね。」

高木朝子は目を見開いたまま後藤英夫を見つめ、言葉を詰まらせながら言った。「後藤先生……わざと罠を仕掛けたんですか?」

後藤英夫は彼女に正直に話すように、真実を話すように言ったのに、池村琴子に横で聞かせていたなんて!

自分の話したことを全部聞かれていたと思うと、高木朝子は全裸にされたような気分で、面目も何もかもなくしてしまった気がした。

後藤英夫も池村琴子が出てくるとは思っていなかった。拳を握り、口元で咳払いをした。「先着順ですからね……まさか飛び出してくるとは思いませんでした。」

高木朝子は聞けば聞くほど腹が立ち、体を震わせながら言った。「後藤先生、まさかこんな人だったなんて!」

「それはあなたが私のことを知らなかっただけです。私はもともとこういう人間なんです。」後藤英夫は両手を広げて肩をすくめ、開き直ったような表情を浮かべた。

高木朝子の顔は青くなったり白くなったりした。彼女は池村琴子を冷ややかに見つめながら言った。「そういうことなら、法廷で会いましょう!自首なんてさせられるわけないでしょう!死んでも自首なんてしません!」

言い終わると、彼女はドアの方へ歩いていき、持ってきた贈り物を見て、考えれば考えるほど腹が立った。酒瓶を蹴飛ばそうと思ったが、自分の財布の中身を思い出し、怒りを抑えながら贈り物を拾い上げた。

「後藤先生、私の弁護を引き受けてくれないなら、このお酒は持ち帰ります。それに先ほど飲んだ分も、返すか現金で支払ってください。」

「プッ」と声を立てて、池村琴子は笑いを抑えきれなかった。「人に贈り物をしておいて返せとか初めて聞きました。高木さん、そんなに困窮してるんですか?現金で払えだなんて、笑い話にもなりませんね。」

高木朝子の顔は真っ白になった。

池村琴子は後藤英夫に向かって言った。「後藤さん、お酒がお好きだとは知りませんでした。今回手ぶらで来てしまいましたが、怒っていませんよね?」

後藤英夫は手を振って軽く笑った。「もちろんです。私は贈り物なんて大嫌いです。礼儀を知っているつもりで、他人に自分の本心が見透かされていないと思っている。」