原因はすぐに分かった。
近籐正明から送られてきたメッセージを見て、池村琴子は冷笑した。
またしても高橋姉帰の仕業だった。
高橋姉帰が主導し、横山紫が仲介役となり、契約を破棄したこれらの企業は全て横山紫が一社一社説得して回ったもので、間違いなく組織の力を使ったのだろう。
「これらの企業は、高橋家の誰かが'W'組織の怒りを買ったという情報を得て、さらに横山紫の証言もあり、すぐに協力を取りやめました」
高橋グループ自体には大きな影響はないものの、一度にこれほど多くの企業が協力を取りやめると、事情を知らない他のパートナーも不安になる。
高橋家の誰かがこの組織を怒らせた?誰が?またこの責任を自分に押し付けられそうだ。
「この高橋姉帰、やはり諦めていないわね」
高橋姉帰は個人的な恨みのために、彼女を、さらには会社全体を犠牲にする気なのだ。
この問題は大きくもなく小さくもない。高橋家がどれほど大きくても、全国、さらには世界的に有名な'W'組織と比べれば太刀打ちできない。
一方は表で、一方は裏で活動している。誰も表立ってこの組織に逆らおうとはしない。
企業間の協力の本質は利益だ。一度の協力のために自社の利益を損なうような者はいない。
「このプロジェクトは兄さんが引き継いだばかり。もし何か問題が起これば、兄さんにも影響が及ぶでしょう」
池村琴子の長いまつげが軽く震えた。
「それらの企業のリストと社長の連絡先を私に渡して」
最初の一社から、池村琴子は自ら電話をかけ始めた。
最初、これらの企業の社長たちは信じようとしなかったが、池村琴子が何度も保証を重ねるうちに、徐々に不安が解消されていった。
彼女が一本の電話をかけるたびに、近籐正明は組織の名義でこれらの社長たちにメールを送り、以前組織から流れた情報はデマだったと説明した。
二日間で、全ての情報が完全に伝達された。
これらの人々は最初、池村琴子の言葉を半信半疑で聞いていたが、'W'組織からの電話を受けた後、ようやく本当に安心したようだった。
すぐに、これらの企業は再び高橋グループとの協力を再開した。
この知らせを聞いた高橋進は笑みが止まらなかった。
竹内雅子は急いで高橋姉帰を呼び寄せた。
会議が進行中、高橋姉帰は車椅子に座って、会議室に運ばれてきた。