第210章 高橋進の安堵

原因はすぐに分かった。

近籐正明から送られてきたメッセージを見て、池村琴子は冷笑した。

またしても高橋姉帰の仕業だった。

高橋姉帰が主導し、横山紫が仲介役となり、契約を破棄したこれらの企業は全て横山紫が一社一社説得して回ったもので、間違いなく組織の力を使ったのだろう。

「これらの企業は、高橋家の誰かが'W'組織の怒りを買ったという情報を得て、さらに横山紫の証言もあり、すぐに協力を取りやめました」

高橋グループ自体には大きな影響はないものの、一度にこれほど多くの企業が協力を取りやめると、事情を知らない他のパートナーも不安になる。

高橋家の誰かがこの組織を怒らせた?誰が?またこの責任を自分に押し付けられそうだ。

「この高橋姉帰、やはり諦めていないわね」

高橋姉帰は個人的な恨みのために、彼女を、さらには会社全体を犠牲にする気なのだ。