池村琴子は高橋姉帰がまた悪さをしていると思うと、目に冷たい光が宿った。
南條夜は彼女の「婚約者」であるだけでなく、友人でもある。
彼女は決して友人を自分の目の前で危険な目に遭わせるわけにはいかない!
「高橋さん、見つかりました!」警備員が緊張した様子で報告した。「一階の死角にある部屋は応接室だけです。」
応接室……
池村琴子の冷静な顔は、寒山の雪蓮のように、冷たい光を放っていた。
「高橋姉帰、変なことをしないでほしいわね……」
もし南條夜が鈴木家で何か起こったら、明日には鈴木家と南條夜が一緒にニュースの見出しを飾ることになるだろう。
彼女は世間の評価など気にしないが、鈴木家の人々のことは気にせざるを得ない。
彼女は大股で一階の応接室へと向かった。
応接室のドアはぴったりと閉まっていた。池村琴子は目を細め、ドアノブに手をかけ、開けようとした時、一本の手が彼女を遮った。