第212章 親族なのだから

高橋姉帰は心臓が喉元まで上がり、慌てて原蓮に目配せをした。

原蓮はそれを無視し、高橋進を見つめ、輝く瞳には懇願の色が満ちていた。

今回は何としても姉帰を連れ帰らなければならない。あの屋敷なんかに行かせるわけにはいかない。そうなれば親族との面会どころか、会うことさえ難しくなってしまう。

そんな眼差しを見た高橋進は、心の中で不快感を覚えた。まるで大切なものを奪われるかのように。

そして彼女の「養父」という言葉は極めて皮肉に聞こえた。世界中の誰もが彼が姉帰の養父だと知っているとはいえ、まだ誰も面と向かってそれを問いただす者はいなかった。

「私は姉帰の父親ですが、あなたは...」

原蓮が答えようとした瞬間、高橋姉帰が急いで割り込んだ。「叔母です!」

原蓮は目を見開いた。高橋姉帰がそんな風に自分のことを言うなんて信じられなかった。叔母なんかじゃない、れっきとした実の母親なのに!