第245章
池村琴子と鈴木愛がショッピングモールを出ると、鈴木愛はまだぶつぶつと文句を言っていた。「おじさんは頭がおかしくなったの?こんな手口も見抜けないなんて?」
池村琴子は微笑んで、山本正博と高木朝子が絡み合っていた時のことを思い出した。彼女も山本正博が頭がおかしくなったのではないかと思っていた。高木朝子のような明らかな偽善者さえも見抜けないなんて。今考えると、男は見抜けないわけではなく、ただ甘い蜜に浸りきっているだけだったのだ。
鈴木愛は話しながら、大小の買い物袋を持って車に乗り込んだ。池村琴子は妊娠しているから重いものは持てないと言って、ほとんどの荷物は鈴木愛が持っていた。
「どこに行く?」シートベルトを締めた鈴木愛が眉を上げて尋ねた。
池村琴子が考えていると、横をオープンカーが疾走し、車内の人が目に入った。