第246章 真実

「南條さん、正直に申し上げますと、山本正博の件については多少の手掛かりはありますが、木村勝一については全く情報が掴めません」探偵は苦々しい表情を浮かべた。この男は行方不明で、どこへ行くにもマスクとサングラスを着用し、神出鬼没。彼らどころか、警察でさえ何も掴めないだろう。

南條夜は端正な眉を軽く上げ、豊かな唇を軽く噛み、深遠な表情を浮かべた。

手掛かりが掴めないことこそが最大の問題だった。

「坊ちゃま」執事が入ってきて、南條夜に告げた。「山本正広がお見えです」

山本正広?

南條夜は口元を歪め、ちょうどいいタイミングだと思った。

「通してください。お茶と軽食も用意して」

「かしこまりました」

……

池村琴子は高橋進と共に高橋家に戻ったが、そこで泣きじゃくる鈴木羽の姿を目にした。