第247章 死人に口なし

もし山本正博がそんな人間だったら、山本正広は吉田蘭に助けを求めることができたはずで、何年も逃げ回る必要はなかったはずだ。

当時何が起きたのかは分からないが、もし山本正博がそんな人間だったら、山本家の全てをこんなに早く手放すはずがない。

彼女のツイートに対して、信じる声ではなく、果てしない罵倒が返ってきた。

その悪意に満ちた言葉の数々を見て、池村琴子の鼻が痛くなった。

山本正博は死に、親族も彼から離れ、自分以外に彼の味方をする人は誰もいない。

彼の死とともに、真実も埋もれてしまった。

山本正広のことで胸が高鳴り続け、バス停に着いても気付かないほどだった。

突然、誰かが声を上げた:

「あなたは池村琴子でしょう!」

その一言で波紋が広がり、その場にいた全員が彼女を見つめた。