騒がしい音楽が何かの繋がりを断ち切った。
ドアの外で、高橋謙一は横向きにタバコを咥え、自分の出現が唐突だとは少しも感じていなかった。
池村琴子の顔が徐々に赤くなっていくのを見て、高橋謙一は危険な目つきで目を細めた。「まだ話し終わってないのか?」
彼は整った顔立ちで、赤く染めた髪が目立っていた。まず妹を数眼で見渡し、それから山本正博を観察し始めた。二人の服装が整っていて、山本正博の唇に口紅も付いていないのを見て、ようやく満足した。
「話が終わったら出てこい」彼は傲慢に口角を上げ、指でタバコを挟み、悠々と煙を吐き出した。
上着を脱ぎ、彼は白いシャツ一枚だけを着ていて、鎖骨の下までボタンが開いており、その姿は怠惰で傲慢だった。
雰囲気を壊したのは彼のせいではない。この短い間に、南條夜は既に数本の酒を飲み干していた。今日は彼の誕生日で、このまま続けば収拾がつかなくなるだろう。
「従姉たちはまだいるの?」顔の熱が徐々に引いていくのを感じながら、彼女は気まずそうに笑った。
三兄のドアの開け方はタイミングが良すぎる……
「ああ」高橋謙一は頷き、下に行くよう促した。
池村琴子は山本正博を一目見て、急いで立ち去った。
山本正博がドアの側まで来ると、高橋謙一に遮られた。
時が流れ、まるでバーでの一幕に戻ったかのようだった。ただし、あの時ドアを遮ったのは山本正博だった。
あの時、山本正博は彼と池村琴子の関係を問いただした。
わずか数ヶ月だが、まるで数年が過ぎたかのようだった。
高橋謙一の不真面目な顔が珍しく真剣になり、投げやりな口調に警告が込められていた。「誠治さん、木村家の敷居は高すぎる。我が高橋家では手が届かない」
「謙遜なさる必要はありません。手が届かないのは私の方です」山本正博は平然と、悠然とした口調で答えた。
高橋謙一は一瞬固まった。
くそ、皮肉を言ったのに、なぜこいつは自ら上がり込もうとするんだ!
「手が届かないと分かっているならいい」高橋謙一の整った顔が即座に冷たくなり、瞳から寒気が漏れ出た。「妹を二度と傷つけさせない」
妹がここ数年受けた苦しみが全てこの男のせいだと思うと、彼は生皮を剥ぎたい衝動に駆られた。
山本正博は目を伏せ、濃く長い睫毛が目の中の波紋を隠した。「私は彼女を傷つけていない。これからもそうするつもりはない」