第297章 彼を好きになる

「飲みなさいよ。どうせ酔っ払っても誰も見向きもしないわ」山口念は自分にワインを注ぎ、一気に飲み干した。

彼女の言葉に刺激され、南條夜の頭は少し冴えてきた。

そのとき、山本正博と池村琴子が同時に階段を降りてきて、小さな騒ぎを引き起こした。

「高橋仙は山本正博と一緒になるのか、それとも木村勝一と一緒になるのか、予想してみましょう」

「同じ人じゃないの?」

「もちろん違うわ。子供の姓が山本になるか木村になるか、それは大きな違いよ」

「誰と結婚するにしても、私は高橋仙の友達になりたいわ。'W'組織の若手リーダーよ。彼女の友達になれば、一生面倒を見てもらえるのよ。高木阿波子も彼女と親友になったって聞いたわ。高木財源も今でも彼女の顔色を伺っているらしいわ」

「高橋仙がそんなに凄いなんて。高木財源も彼女を恐れているなんて」