「トイレにお客さんがいるって?」高橋進は無理に笑って言った。「何を言ってるんだ...意味が分からないよ。トイレに他の人がいるはずがない。羽、怖がらせないでくれ」
「誰が怖がってるかしら?」鈴木羽は目を細めて微笑んだ。
高橋進は心臓が飛び出しそうなほど緊張していた。
羽がどうして知っているんだ?!
高橋進が体を硬直させ、信じられない様子を見て、鈴木羽は立ち上がり、トイレの方へ歩き出した。
高橋進は思わず彼女を止め、もごもごと言った。「羽...座っていて。僕が見てくる」
鈴木羽はじっとしたまま、腕を組んで、意味ありげに彼を見つめながら、トイレに向かう様子を見守った。
高橋進がドアノブに手をかける前に、ドアが開いた。
竹内雅子が優雅な足取りで中から出てきた。
竹内雅子を見た高橋進の表情は「ひどく醜い」という言葉で表現できるほどだった。