壁に映し出された、明らかに寄せ集めだが非常に有用な映像を見ながら、小林警部の表情は険しいものだった。
「警部、ここを見てください」池村琴子は映像を停止させた。「ここで父は腕時計をしていますが、こちらを見てください……」
「彼の腕時計が消えています」
空気が凍りついた。
「これは何を意味するのでしょうか。誰かが父の持ち物に目をつけたということです。警部、あなたのお仕事は尊重しますが、父の命も同様に尊重していただきたい」
彼女の言葉には迫力があった。
小林警部の顔が一気に曇った。「何が言いたいんだ?我々の専門性を疑っているのか?」
「警察の専門性を疑うつもりはありません。ただ、証拠もないのに安易に事件を片付けようとする職員がいないとは限りません」池村琴子は軽く微笑み、意味深な笑みを浮かべた。