第316章 バックグラウンドなら、彼女は誰も恐れたことがない

「犯人……」池村琴子はくすくすと笑って、「たとえ何かあったとしても、これは民事紛争にしかならないでしょう。まだ有罪判決も出ていないのに、可乃子さんの中ではもう犯人になっているんですか?」

「もし木村爺さんに何かあったら、あなたの家族は犯罪者になるのよ。これだけの目撃者がいるのに逃げられると思う?」松田柔子は負けじと言い返した。「あなたのおばあさんだって高木朝子に殺されたのに、あなたは彼女を刑務所に送ったじゃない。どうして自分の番になると、そんなダブルスタンダードなの?」

「私のおばあさんの件とは違う」池村琴子は目を細め、その瞳に冷たい光が宿った。

高木朝子の件は故意だった。計画的殺人だ。今の木村爺さんの状態はまだ不明なのに、松田柔子は先に責任を押し付けようとしている。他人が受け入れるかどうかは別問題だ。