第320章 高橋忠一は私の兄

彼女を探してる?

なぜ彼女を探す人がいるなんて……

「かっこよすぎ、マジで!悦子、早く来て!彼がずっと待ってるわ。残念ながらボディーガードに囲まれてるから、うちの学校の女子たちに食い散らかされずに済んでるけど」

ルームメイトの大げさな表現を聞いて、小林悦子は心の中で不思議に思った。

ルームメイトがこんなに驚くのも無理はない。大学2年生になって、みんな彼氏がいるのに、彼女だけいなかった。

彼女は普通の顔立ちで、普通の服装をしていて、家が金持ちだということさえ、去年になって初めて知った。

この数年、父と母は離婚し、二人とも家が裕福だという事実を彼女に隠していた。家はずっと貧しいと思わせていたが、去年になって、父が彼女に告げた。彼女が夏休みにアルバイトをしていたカフェは、実は彼女の家が経営していたものだと。