第328章 男の心を繋ぎ止められない

鈴木羽の感情のない言葉に、高橋進は頭を殴られたような衝撃を受けた。

縁が切れたのだ……

やはり、彼女は山田義隆を愛するようになったのだ……

若い頃は山田義隆に負けなかったのに、中年になって彼に負けてしまうとは。

この衝撃に、高橋進はしばらく立ち直れなかった。

鈴木羽は彼が病気を装っていることを見抜き、さらに怒りが込み上げた。

認知症を装うなんて、よくもやってくれたわね。私を何だと思っているの?他の人たちを何だと思っているの?馬鹿にしているの?

鈴木羽は振り返ることもなく立ち去った。

しばらくして、高橋進はようやく我に返った。

今日は喧嘩をしに来たわけではなく、羽と和解したかったのに、どうして話しているうちに離婚の話になってしまったのだろう?

急いで振り返って鈴木羽を追いかけた。

「羽、羽、待って!」高橋進は彼女を引き止め、顔色を失って言った。「話し合おう。病気を装っていたことは……子供たちには言わないでくれ……」

鈴木羽は彼の手を振り払い、冷たく睨みつけた。「仙も息子も知っているのよ。あなたの下手な演技で私は騙せても、彼らは騙せないわ。まだそんなことに執着しているなんて、本当に失望したわ!」

高橋進は呆然とした表情を浮かべた。

どういうことだ?

子供たちは既に自分が病気を装っていたことを知っていたのか?

そんなはずはない。あれほど上手く演じたのに、数日かけて練習までしたのに。

「高橋進、本当に悔い改めるなら、正直になって、子供たちと向き合いなさい。そうすれば子供たちのために、あなたに敬意を払うこともできるわ。」

この言葉を口にした時、鈴木羽の心には悲しみが広がった。

これまで高橋進を許してきたのは、過去の情と、彼が子供たちの父親だからだった。

しかし今や、高橋進はますます常軌を逸していく。

「わかった、本当に悔い改める。でも、あなたは?」高橋進は苦しそうに目を閉じた。「あなたと山田義隆はいつから付き合っているんだ?私は竹内雅子と手を切れた。じゃあ、あなたは山田義隆と手を切れるのか?」