第328章 男の心を繋ぎ止められない

鈴木羽の感情のない言葉に、高橋進は頭を殴られたような衝撃を受けた。

縁が切れたのだ……

やはり、彼女は山田義隆を愛するようになったのだ……

若い頃は山田義隆に負けなかったのに、中年になって彼に負けてしまうとは。

この衝撃に、高橋進はしばらく立ち直れなかった。

鈴木羽は彼が病気を装っていることを見抜き、さらに怒りが込み上げた。

認知症を装うなんて、よくもやってくれたわね。私を何だと思っているの?他の人たちを何だと思っているの?馬鹿にしているの?

鈴木羽は振り返ることもなく立ち去った。

しばらくして、高橋進はようやく我に返った。

今日は喧嘩をしに来たわけではなく、羽と和解したかったのに、どうして話しているうちに離婚の話になってしまったのだろう?

急いで振り返って鈴木羽を追いかけた。