いいえ、彼は姉帰に言っていた。目立たないように行動し、この学校での進修が終わったら、自分の会社の支社の一つを任せると。
姉帰は彼に約束した。更生して、真面目に勉強し、きちんと生活すると。どうして学校で騒ぎを起こすはずがあろうか?
彼は携帯を見た。さっき姉帰にメッセージを送ったが、まだ返信がない。
……
部屋の中は、気まずい雰囲気が漂っていた。
高橋姉帰は片隅に座り、後藤若奈が小林悦子に道理を説くのを聞いていた。
後藤若奈が自分の味方だと分かってから、高橋姉帰は安心した。
高橋家の人々と仲違いしたとはいえ、まだ自分の立場を認めてくれる人がいる。
実は後藤若奈も高橋姉帰と高橋家の一件については聞いていたが、痩せ馬は馬より大きい。
高橋姉帰はどう言っても高橋家が丹精込めて育てた恵子さんで、人脈などの面でも劣ることはない。父親が建設現場で働く小林悦子とは比べものにならないほど上だ。