南條夜は病衣を着て、ベッドに寄りかかり、顔色は悪く、目元には疲れの色が見えた。
この数年、彼は生死に対して淡々としていて、むしろ生きているほうが死ぬよりも辛いと感じていた。
むしろ、母親が傍で泣き叫んでいることが頭痛の種だった。
南條夜の両親はその話を聞いて、すぐに慌てふためいた。
RH陰性血液、いわゆるパンダ血液は、希少な血液型だが、南條夜は今血液が不足している。どこでこの血液を見つければいいのだろうか?
「先生、私と夫はパンダ血液ではありませんが、私たちは彼の両親です。私たちの血液を輸血できませんか?」南條夜の母は涙を浮かべながら、焦りで落ち着かない様子だった。
彼女と南條商はパンダ血液ではないのに、どうしてパンダ血液の子供が生まれたのだろう。
今、消化管出血で貧血症状が出ているのに、血液が見つからなかったらどうすればいいの!
自分の子供が危険な目に遭うのを、ただ見ているしかないのか?
その言葉を聞いて、医師は無奈気に苦笑いを浮かべながら、優しく諭した:「申し訳ありませんが、お子様はRH陰性血液型で、同じ血液型からしか輸血できません。たとえ実の両親でも、血液型が合わなければ輸血はできないのです。」
「じゃあ、どうすれば……」南條夜の母は顔面蒼白になり、その場で固まってしまった。
以前、息子がこの血液型だと知った時は誇りに思っていた。希少な血液型は貴重だと思っていたが、今になって分かった。希少な血液型の人は、いざという時に何もできないのだと。
貴重な血液型なんて、南條夜がこの血液型でなければよかったのに。
「あなた、血液バンクに行って見てきて、この血液型があるかどうか確認して」南條夜の母は南條商の腕を掴んで、焦りながら言った。「あなたには息子が一人しかいないのよ。危険な目に遭わせるわけにはいかないでしょう!」
南條商も表情は深刻だった。
これまでの人生で、様々な場面を経験してきたが、彼は表情を引き締めて、すぐに携帯電話で何人かに電話をかけ始めた。
これらの人々は彼の人脈で、特にRH陰性血液型の人々と意図的に繋がりを持っていた。
息子がこの血液型だと知ってから、万が一の事態で血液が必要になった時のために、わざとこれらの人々と関係を築いていたのだ。
全部で五人いて、四人目でようやく電話が通じた。