「鈴、仙に無理をさせないで」鈴木愛は興奮している鈴木鈴を引き止めた。「今日は試合がもう始まるのよ。仙にどこからチケットを探してこいっていうの?」
鈴木鈴の笑顔が引きつった。
従妹が「W」組織の人間だから、なんとかしてチケットを手に入れられるだろうと思っていたが、今日の試合はもう始まるというのに、こんなにたくさんのチケットを、まさか従妹に強奪させるわけにはいかない。
この要求は確かに無理な話だった。
鈴木鈴は申し訳なさそうに笑った。「ごめんね、仙従妹。興奮しすぎちゃって、確かに無理な要求だったわ。今の話は忘れて...」
「無理じゃありません」池村琴子は透き通るような美しい瞳をパチパチさせ、柔らかな声で言った。「私にはこれくらいのチケットを用意するのは簡単です」
鈴木鈴は目を丸くし、以前の商談会のことを思い出した。
商談会のチケットも入手困難だったが、噂によると全て仙従妹が手に入れたもので、しかも一銭も使わなかったという。
これが「W」組織の実力なのだ。
鈴木鈴は肩を寄せ合い、わくわくしながら言った。「じゃあ、従妹のチケットを待ってるわ」
池村琴子がチケットを手に入れられると聞いて、鈴木鈴は遠慮する気持ちがなくなった。
近籐正明のサインと写真を手に入れて以来、仙従妹は彼女の心の中で神様のような存在となっていた。
以前は人から聞くだけだったが、実際に仙従妹が自分の会社を救い、近籐正明が彼女の言うことを何でも聞くのを目の当たりにしてからは、仙従妹を完全にアイドル視するようになった。
同い年なのに、この従妹はあまりにも凄すぎる!
妹が遠慮なく振る舞う様子を見て、鈴木愛は少し困ったように思い、池村琴子に何でも甘やかすなと諭そうとした矢先、池村琴子が笑顔で彼女に言った。「お姉さんも一緒にどうですか?チケットは十分ありますから」
鈴木愛は言おうとしていた言葉を飲み込んだ。
このデザインコンテストには確かに彼女も行きたかった。むしろ、会場でセットを購入できるかもしれないと思って貯金までしていた。興味がないとか行きたくないというのは嘘で、ジュエリー愛好家として、このような大会は絶対に見逃したくなかった。特にこのレベルの大会なら尚更だ。