第375章 後手

コンテストには裏があることもありますが、こんなにあからさまな不正は、本当に見苦しいものでした。

上田従雲は数珠を弄る手を止め、軽く頷きました。「日本の代表選手は、こんな無名の人物であってはいけない。彼女のデザイン力は悪くないが、他国との対戦では、まだその実力はない。」

この言葉に、主催者たちは皆沈黙しました。

彼らも分かっていました。日本の代表として出場できる者は、まず安定性があり、そして勝利を求められるということを。

この件は一見審査員たちで決められるように見えますが、実際にはすべての総合的な能力を見なければなりません。

突然どこからともなく現れた人物に「W」組織を、日本を代表させるなんて、彼らだけでなく、この件を知る者は誰もが心配するでしょう。

これは国際大会なのです。勝利も大切ですが、より重要なのは恥をかかないことです。