高橋敬一は慰めの言葉を続けようと思ったが、考えた末、現実的な方が良いと判断した。
彼は常々、山本正博は南條夜に及ばないと感じていた。妹のような性格の者には、南條夜のような性格の人でなければ受け入れられないだろうと。
彼の言葉を聞いて、池村琴子は軽く目を上げ、冷笑した。
その冷笑に、高橋敬一は眉をしかめた。
「妹だと思っているからこそ言うんだ。忠告は耳に痛いものだ。こういう話を聞きたくないのは分かっている。もういい、ここまでにしておこう。これ以上君を不快にさせたくない。」
高橋敬一も内心腹が立っていた。
もしこの話を高橋か兄が言ったのなら、妹はこんな態度は取らないはずだ。
結局のところ、彼を見下しているのだ。この次男である彼を認めていないのだ。
彼はため息をつき、高橋姉帰に目を向けた。