高橋進は喉に詰まった息を飲み込み、顔色が悪くなった。
「会社のことは、私が……」
自分の名義の支社を一つ高橋姉帰に譲渡したことは、密かに行われ、まだ公示されていなかったのに、なぜ羽がこんなに早く知ったのだろう?
「あなたは高橋姉帰にはとても優しいのね。幸い、私たちの仙には愛情を注ぐ人がいるわ。高橋という姓には何の利点もないし、池村の方がいいわ。少なくとも巨額の財産が待っているもの」
高橋進は口を開いたが、反論の言葉は一つも出てこなかった。
高橋家は光町一の富豪とはいえ、子供が何人もいるので、分けたら上田従雲の財産には及ばない。
そう考えると、確かに高橋より池村の方が良いかもしれない。
高橋進は息が詰まり、胸が痛くなった。
羽の言葉は、彼の面子を踏みにじるようなものだった。