第424話 彼はそんなに大切なの?

彼女は山本正博がこの提案を拒否することは受け入れられるが、池村琴子の意見を求めることは受け入れられなかった。

将来を恋敵に委ねることは、彼女への明らかな侮辱だった。

池村琴子の眼差しは純粋で透き通っていた。彼女は横山紫を一瞥し、山本正博に微笑んで言った。「彼女の言う通りよ。近籐正明は私の友達だから、もちろん友達を選ぶわ」

言い終わると、彼女は冷ややかな目で山崎三郎を見つめ、唇の端をかすかに上げ、瞳の奥に冷たさを宿した。

彼女は山崎三郎が上位の地位を要求すると思っていたが、まさか異分子を排除したいだけだとは。

なるほど、組織が横山紫のような人物を採用した理由が分かった。山崎三郎が内通者だったのだ。

彼女が近籐正明を友人だと言うのを聞いて、山崎三郎は彼女を何度も見つめた。